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ゆる読。

気が向いたときに小説やらの感想を残すブログ。ほっこり系、ミステリが主。

2019-01-01から1年間の記事一覧

自分ってダメだなぁ、って辛くなった時に|小説『働かないの』

40代にして仕事を辞め、今後の人生は誰にも振り回されずに生きるんだ!と、働かずに生きると決めたキョウコ。 貯金生活を始めて約3年が過ぎたキョウコの毎日は、きわめて穏やかで平凡だ。 だけどそんなキョウコの暮らしに、2つの新たな風が吹いた。 一つは…

だから、私は本を読む

私にとって、本を読むということ 転職を考え始めた時、どういう状態なら自分は幸せか?を真剣に考えた。 仕事は? 結婚は? 住む場所は? お金…?愛…? 酒と、泪と、男と、女…? … うーん、よくわからん。 ていうか、どれも積極的に自分が幸せになるために獲…

あなたはこの物語を笑うだろうか|『レプリカたちの夜』

おお?? これは?? なんだなんだ?? っていうのが1ページ目から最後まで続く作品。 帯に伊坂幸太郎のコメントで、「この小説は必ず世に出すべきだと思った」みたいなことが書いてあったので手に取ってみたらびっくり。 絶滅した動物たちのレプリカを作る…

精神の異変か、それとも死霊の憑依か|『K.Nの悲劇』

ホラーサスペンスという触れ込みだが、ホラーテイストはほぼ冒頭の部分のみ。 ストーリーの構成としてはサスペンスやミステリチックだけど、扱うテーマが重く(妊娠中絶)、主要人物の心理描写、心理分析が濃密なので、ストーリー構成の面白さというよりメッセ…

一番潔い、疲れた女性の転身物語|『れんげ荘』

私は仕事にプライベートに疲れた女性が、ゴミゴミした日常を離れて心をほぐす(個人的にはこの行動を社会的断捨離と呼びたい)みたいなストーリーが大好きだ。 それは束の間の旅だったり、もともと好きだったことを仕事にするだったり、縁もゆかりもない田舎に…

このせかいの、ほんとうのことについて|『麦ふみクーツェ』

主人公は、からだがとても大きな「ぼく」。ねこのなきまねがほんものそっくりだから、「ねこ」と呼ばれている。 彼は、おじいちゃんがティンパニストとして街の楽団を引っ張っていて幼い頃から音楽に馴染んできたことから、いつしか音楽の道を志すように。 …

初見殺しの高い壁を乗り越えたらもう止まらない|小説『姑獲鳥の夏』

面妖な表紙デザインと凶器にもなり得るその風貌(厚さ)から、一度見たらまず忘れない『姑獲鳥の夏』。 長年、長期休みになったらやりたいことランキング上位に食い込んでいた本作品読破だが、遂に成し遂げることができた。 物語は、物書きの関口がとある病院…

伊坂幸太郎が描く恋の群像劇|小説『アイネクライネナハトムジーク』

伊坂幸太郎作品には珍しく、泥棒も殺人者もテロリストも出てこない話。 6章の短編から成る群像劇で、各章がタテとヨコ(各章の登場人物同士と、時系列)で絡み合っている。伊坂幸太郎作品によくある構成だけど、この作品は特に時系列が結構行ったり来たりな…

厳しくておおらかな自然に生きる|エッセイ『空から森が降ってくる』

表紙の写真とタイトルでジャケ借り(図書館で借りた)。 エッセイって、日々の出来事を書き連ねるというテイでその人の感性、考え方、価値観を世に丸出しにするという、嬉し恥ずかしな形態(著者が本当にそう思っているかどうかは知らない)だと思っていたけど、…

アメトーーク「このツッコミがすごい!!」がすごい

今週のアメトーークは非常に良かった。いや良すぎた。 全ビジネスマンが見るべきものランキング第1位『キングダム』に並ぶくらい全ビジネスマンが見るべきであると思う。 「このツッコミがすごい!!」ということで、ツッコミ担当の芸人さんたちが、「すごい…

人生は伏線だらけ|ノンフィクション『バッタを倒しにアフリカへ』

いや~面白かった。研究の楽しさ・ワクワクと、現実的な問題(主に就活)がめちゃくちゃリアルに描かれている。 基本的にやっていることはバッタストーキングであるが、バッタの生態(時々他の昆虫に浮気するが)にまつわる仮説の見つけ方・実験プランの立て…

大きな潮に流されるような意志の漂い|小説『海と毒薬』

ある大学病院の医師たちが捕虜となった米兵に人体実験を行う話。 実験に加わった3名の、実験に加わるまでのそれぞれの心理が描かれる。 人命を救う使命を負う医師という立場で、物資も人も足りない中、為す術なく患者たちが死にゆく現状を嘆き、それでも大き…

…あれ?結局向井理ってやっぱかっこよくない?|映画『小野寺の弟、小野寺の姉』

何というか、すごく地に足がついた作品。 開始20分くらいの、登場人物が大体出揃ったあたりで大方の人が想像するような「たぶんこういう結末だろう」という予想がきれいにそのまま再現されて終わる。 従ってストーリーは非常にシンプルだけど、幼い頃に両親…

塾経営を通じた家族の悲喜交々|小説『みかづき』

あらすじ 昭和36年。放課後の用務員室で子供たちに勉強を教えていた大島吾郎は、ある少女の母・千明に見込まれ、学習塾を開くことに。この決断が、何代にもわたる大島家の波瀾万丈の人生の幕開けとなる。二人は結婚し、娘も誕生。戦後のベビーブームや高度経…

なぜ人を殺してはいけないのか|小説『悪と仮面のルール』

あらすじ 邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼女の幸せだけを願って。同じ頃街ではテロ組織による連続殺人事件が発生していた。そして彼の前に…

寓話のようなミステリ|小説『オーデュボンの祈り』

あらすじ コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の…

非日常空間での過去への探求|小説『黒と茶の幻想』

あらすじ 太古の森をいだく島へ―学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に…

すごい悔しくなったので頭を整理してみる|小説『そして二人だけになった』

あらすじ とてつもなく大きな橋を支える巨大コンクリートの塊の中に、国家機密とされるシェルタがあった。現代の最高技術で造られたこの密室に滞在することになった六人が、一人ずつ、殺される。痺れるような緊張感の中、最後に残った二人。そして世界が反転…

”今”に悩む大人も優しく包み込むレトロな町|小説『つむじ風食堂の夜』

あらすじ 懐かしい町「月舟町」の十字路の角にある、ちょっと風変わりなつむじ風食堂。無口な店主、月舟アパートメントに住んでいる「雨降り先生」、古本屋の「デニーロの親方」、イルクーツクに行きたい果物屋主人、不思議な帽子屋・桜田さん、背の高い舞台…

じめっとして、どろっとして、まとわりつく|小説『私の男』

あらすじ 落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた…

各章、集中して最後の一文まで読み込んで|小説『儚い羊たちの祝宴』

あらすじ 夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美な…

美味しいパンと、コーヒーと、月浦の月をいただきに|小説『しあわせのパン』

あらすじ 北海道洞爺湖畔の静かな町・月浦に、りえさんと水縞くんの営むパンカフェ「マーニ」があった。実らぬ恋に未練する女性・香織、出ていった母への思慕から父親を避けるようになった少女・未久、生きる希望を失った老夫婦・史生とアヤ……さまざまな悩み…

想い続けることは夢か狂気か|『神様のボート』

あらすじ あたしは現実を生きたいの。ママは現実を生きてない。消えたパパを待って、あたしとママはずっと旅がらす……。恋愛の静かな狂気に囚われた母と、その傍らで成長していく娘の遥かな物語。昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生ま…

な~んか面白い映画ないかな~と思ったときにぜひおすすめ|映画『鍵泥棒のメソッド』

あらすじ 人生が入れ替わってしまった二人の男と婚活中の女性が巻き起こす、誰もが楽しめる喜劇を描く。先の読めない展開と意外でかつ爽快感の残るラスト、様々な場所に仕掛けられた笑い等、映画の醍醐味をすべて織り込んだ脚本の完成度は健在。(Amazonより…

つまんない日常でもいいじゃない|エッセイ『そして生活はつづく』

あらすじ 人でも不良でも、有名俳優でもロックスターでも、誰だって家に帰れば地道な日常がある。 携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。 つきまとう劣等感&虚無…

気軽に 見れて、作り手の想いもしっかり心に残る|映画『超高速!参勤交代』

あらすじ 江戸期、八代将軍・徳川吉宗の時代。1万5千石の小藩・磐城国湯長谷藩に存在するという金山略奪を狙い、江戸幕府が無理難題を吹っ掛ける。「5日以内に参勤交代しなければ、藩を取り潰す! 」。金も時間もない湯長谷藩。参勤交代を果たし、無事に藩を…

淡々としているけど不思議な読後感|小説『旅のラゴス』

あらすじ 旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。集団転移、壁抜けなど不思議な体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅を続ける男・ラゴスの目的は何か?北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償と…

”見えない顔”を想像して読みたい|『昨年の冬、きみと別れ』

あらすじ ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着…

手書き文字の雄弁さ|小説『ツバキ文具店』

あらすじ ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。(Amazonより) ツバキ文具店 (幻冬舎文庫) 作者: 小川糸 出版社/メ…

きれいなんだけど、引っ掛かりなく終わってしまった|『鏡の花』

あらすじ もしも大切な人がいなかったら、どんな人生を送るのか? 身近な誰かが欠けてしまったパラレルな六つの世界が呼応し合い、眩しく美しい光を放つ。緻密な構成が輝く、著者渾身の意欲作。(Amazonより) 鏡の花 (集英社文庫) 作者: 道尾秀介 出版社/メ…