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ゆる読。

気が向いたときに小説やらの感想を残すブログ。ほっこり系、ミステリが主。

”見えない顔”を想像して読みたい|『昨年の冬、きみと別れ』

 

あらすじ

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は——。

Amazonより) 

 

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

 

 

以前、アメトークの「読書大好き芸人」で又吉さんと光浦さん(だったような気がする)が中村文則さんの小説をおすすめしていたので、ずっと気になっていた作家さん。

 

ただ、いきなり「教団X」や「R帝国」に手を出す勇気がなんとなく出ず、

映画化もされているこちらを読んでみた。

 

本書は、ある事件についてのルポを書こうとしている「僕」による地の文と、ルポのための資料となる文で構成されている。

 

章ごとに一人称が変わるので、ちょっと読みづらいといえば読みづらいが、

同時にそれを考えながら読み進めるのが面白いところ。

複雑に絡み合った伏線を最後にはほとんどしっかり解説してくれるので、

ミステリーとしてきちんと楽しめた。

 

 

ちなみに、この物語は「普通」からずれた、いわゆる「狂人」っぽい登場人物が多い。 

 

狂っているかどうかの境界線てたぶんどこにも存在しなくて、

自分の中にもその「狂い」とみなされる可能性のある芽がどこかにあるかもしれない。

なので「狂っているように見える人」の心理描写や心情吐露を読むのは、

自分ももしかしたらあっち側なのかもしれないということに目を向けざるを得ず、

切り立った崖ギリギリまで近寄って崖底を覗いているようなスリルを味わえる気がする。

 

ただし、小説自体のボリューム感は少なめなので、

一人ひとりの心理描写が深堀されているというよりは、

色んなヘンタイがいるなあと眺めるような感じ。

 

しかし、これ映画だとどうなっているんだろう。

お気に入り度

★★★☆☆

 

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アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

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こちらは、サイコパスの話。

かなりボリューミーだし、サイコパス目線で物語が進む。

 まさに、「普通」と「狂気」が混然一体となっていてスリル満載。

悪の教典(上) (文春文庫)

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