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ゆる読。

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精神の異変か、それとも死霊の憑依か|『K.Nの悲劇』

ホラーサスペンスという触れ込みだが、ホラーテイストはほぼ冒頭の部分のみ。

 

ストーリーの構成としてはサスペンスやミステリチックだけど、扱うテーマが重く(妊娠中絶)、主要人物の心理描写、心理分析が濃密なので、ストーリー構成の面白さというよりメッセージ性が前面に押し出されている。

 

 

最近読んだ『姑獲鳥の夏』でもそうだが、女性の「子供を持つ」ことへの激情(特に妊婦)は、理想と現実に大きな乖離がある時、時に精神を分裂させなければそのまま生き続けられないほどのものであるのだろう。

 

 

また、今回妊婦を襲った「憑依」状態に対して、これは精神医学で解釈できるものなのか、はたまた本当に死霊が取り付いているのか、読者としてジェットコースターのように振り回されるのはとてもスリリングで面白い体験。

 

お気に入り度

★★★☆☆

 

 あらすじ

精神の異変か、それとも死霊の憑依か?
ホラーを超えた衝撃

若くして成功した夫との新しい生活。だが予期せぬ妊娠に中絶という答を出した時から、夏樹果波(なつきかなみ)の心に異変が起こり始める。自分の中に棲みついた別の女――精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。治療を開始した夫と精神科医の前には想像を絶する事態が待ち受けていた。乱歩賞作家が描く、愛と戦慄の物語。

 

K・Nの悲劇 (講談社文庫)

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