大天才・四季の魅力がふんだんに詰まった一作|小説『有限と微小のパン』
ついにS&Mシリーズ最終作。
結構なボリュームがあったが、中弛みすることなく一気に読み進めることができた。
第1作目(といいつつ、実際の執筆された順序は4番目くらいらしい)「すべてがFになる」に登場した超天才・真賀田四季が再び萌絵と犀川に接近する。しかし当の彼女は追われる身であり、実際に姿を表すわけではない。一方で二人の周りで立て続けに殺人事件が発生。
果たして真賀田四季は、なぜ、どうやってこれらの事件に関わっているのか…?
四季のラスボス感あふれる存在感、人の認知に関する独特の見解、そして四季が生み出した、空間を無限に増幅させる装置などなど、四季ファンにはたまらない要素がてんこ盛りであり、さらにもうひとつ、最後に明らかになる四季のもうひとつの顔も、いい意味でめちゃくちゃギャップを感じさせる萌ポイントであった。
オマケで、萌絵が実は周りからちょっと浮いていること、家族という存在に飢えていることなどから、「普通になりたい、常識的な人間になりたい」と切望していたということもわかり、ちょっとだけ萌絵とも友達になれるかもしれない、と思えるようになったことも収穫だった。
ミステリのトリックとしても、S&Mシリーズの中では納得感があるほうでした。
「すべF」以降、ずっと食わず嫌いしていたS&Mシリーズを(飛ばし飛ばしながらも)通読した結果、
萌絵:すげー苦手→まあ、ちょっとイラっとするが子供っぽくてかわいいかな
犀川:なんかのらりくらりしててイラっとする→子供だからまあしょうがないか
四季:ちょっと怖いけど好き→かわいい!!好き!!
に変化したので、もしすべF以降離脱してしまった方は、頑張って読み進めてみるのをおすすめします!
(個人的には、詩的私的ジャック、有限と微小のパンあたりがおすすめ)