google-site-verification: google6166a85729186420.html

ゆる読。

気が向いたときに小説やらの感想を残すブログ。ほっこり系、ミステリが主。

★★★☆☆

S&Mシリーズを何作か読んでいる人にだけおすすめする|小説「今はもうない」

森博嗣によるS&Mシリーズのうちの一作。 今回は、犀川はほぼ活躍しない(といいつつ、幕間や終盤にちゃっかりいい味を出しているが)、西之園家の持つ別荘地の隣の別荘で起きた殺人事件。 その別荘に遊びに来ていた紳士と、西之園のお嬢様が中心となって事件の…

ベストオブ人生で一度は思いつきたいタイトル|小説『封印再度 who inside』

一度聞けば忘れないそのタイトル 封印再度 who inside 漢字と英字、読み方が同じばかりか、物語の主要な謎をそれぞれ表しておりまさに秀逸。 決して取り出せない鍵が入った壺、天地の瓢と、その鍵がないと開けることができない無我の匣。鍵はどのように取り…

そこにはハワイがつまってる|小説「まぼろしハワイ」

あれだけ蒸し暑くてイライラしてたのに、その気配が過ぎ去ろうとするとなんだか名残惜しくなる、夏。 なんだかその夏らしさを留めておきたくてたまたま目に留まった「まぼろしハワイ」。 タイトルどおり、本当に、あのハワイ独特のゆったりした感じや、風や…

安定感あるミステリ短編集|小説「満願」

米澤穂信さんの短編集は「儚い羊たちの祝宴」に続いて2作目。 恥ずかしながら、たまたま古本屋で見かけるまで知らなかったのだけどなんかしらの文学賞3冠を取ったそうだ。 めちゃくちゃワクワクしながら手に取ってみたのだけど、冒頭の期待値が高すぎたから…

大きすぎる危機は、足元まで来ないと気付かない|小説『小さいおうち』

東京の裕福な家庭で女中として働いていた「タキ」が、晩年に当時の暮らしの記憶を辿るお話。タキにとって、最も深く忠義を尽くした「平井家」での日々が綴られる。 ものすごく不可解な事件が起きたり、泥沼の愛憎劇があるわけではない。 あくまで、タキの女…

適当さに案外救われたりする|小説『強運の持ち主』

主人公は、ショッピングセンターの片隅で、ルイーズ吉田として占いを営む元OLの吉田幸子。 吉田幸子の言うことには信憑性がない、ということでルイーズ吉田という名前を師匠のジュリエ青柳から授かったそうだが、どっちかというと吉田幸子に占ってもらいたい…

あなたはこの物語を笑うだろうか|『レプリカたちの夜』

おお?? これは?? なんだなんだ?? っていうのが1ページ目から最後まで続く作品。 帯に伊坂幸太郎のコメントで、「この小説は必ず世に出すべきだと思った」みたいなことが書いてあったので手に取ってみたらびっくり。 絶滅した動物たちのレプリカを作る…

精神の異変か、それとも死霊の憑依か|『K.Nの悲劇』

ホラーサスペンスという触れ込みだが、ホラーテイストはほぼ冒頭の部分のみ。 ストーリーの構成としてはサスペンスやミステリチックだけど、扱うテーマが重く(妊娠中絶)、主要人物の心理描写、心理分析が濃密なので、ストーリー構成の面白さというよりメッセ…

伊坂幸太郎が描く恋の群像劇|小説『アイネクライネナハトムジーク』

伊坂幸太郎作品には珍しく、泥棒も殺人者もテロリストも出てこない話。 6章の短編から成る群像劇で、各章がタテとヨコ(各章の登場人物同士と、時系列)で絡み合っている。伊坂幸太郎作品によくある構成だけど、この作品は特に時系列が結構行ったり来たりな…

厳しくておおらかな自然に生きる|エッセイ『空から森が降ってくる』

表紙の写真とタイトルでジャケ借り(図書館で借りた)。 エッセイって、日々の出来事を書き連ねるというテイでその人の感性、考え方、価値観を世に丸出しにするという、嬉し恥ずかしな形態(著者が本当にそう思っているかどうかは知らない)だと思っていたけど、…

大きな潮に流されるような意志の漂い|小説『海と毒薬』

ある大学病院の医師たちが捕虜となった米兵に人体実験を行う話。 実験に加わった3名の、実験に加わるまでのそれぞれの心理が描かれる。 人命を救う使命を負う医師という立場で、物資も人も足りない中、為す術なく患者たちが死にゆく現状を嘆き、それでも大き…

塾経営を通じた家族の悲喜交々|小説『みかづき』

あらすじ 昭和36年。放課後の用務員室で子供たちに勉強を教えていた大島吾郎は、ある少女の母・千明に見込まれ、学習塾を開くことに。この決断が、何代にもわたる大島家の波瀾万丈の人生の幕開けとなる。二人は結婚し、娘も誕生。戦後のベビーブームや高度経…

なぜ人を殺してはいけないのか|小説『悪と仮面のルール』

あらすじ 邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼女の幸せだけを願って。同じ頃街ではテロ組織による連続殺人事件が発生していた。そして彼の前に…

非日常空間での過去への探求|小説『黒と茶の幻想』

あらすじ 太古の森をいだく島へ―学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に…

想い続けることは夢か狂気か|『神様のボート』

あらすじ あたしは現実を生きたいの。ママは現実を生きてない。消えたパパを待って、あたしとママはずっと旅がらす……。恋愛の静かな狂気に囚われた母と、その傍らで成長していく娘の遥かな物語。昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生ま…

つまんない日常でもいいじゃない|エッセイ『そして生活はつづく』

あらすじ 人でも不良でも、有名俳優でもロックスターでも、誰だって家に帰れば地道な日常がある。 携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。 つきまとう劣等感&虚無…

”見えない顔”を想像して読みたい|『昨年の冬、きみと別れ』

あらすじ ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着…

バカで下品な青春!|『レヴォリューションNo.3』

こんなあなたに なんとなく過ごしている毎日に、刺激が欲しい 男子たちがわちゃわちゃしている姿にほっこりする 10代の頃のテンションが懐かしい レヴォリューション No.3 (角川文庫) 作者: 金城一紀 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2…

本当に人間を休む覚悟はあるか|『人間をお休みしてヤギになってみた結果』

こんなあなたに 周りの期待とか、仕事とか、役割とかどうでもいい、純粋な好奇心のもとに突っ走りたい 「頭のいい変人」が好き 将来の夢は、猫か鳥 リベラルアーツから生み出される新たな知見・世界観に興味がある (そんなあなたにはこちらもいいかも ⇒「サ…