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ゆる読。

気が向いたときに小説やらの感想を残すブログ。ほっこり系、ミステリが主。

じめっとして、どろっとして、まとわりつく|小説『私の男』

あらすじ

落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く。 (Amazonより) 

私の男 (文春文庫)

私の男 (文春文庫)

 

 

なんかもう、途中から読むことを投げ出したくなった。

主人公の花と、育て親淳悟の、底が見えない愛情への乾きが、延々と、描かれる。もうたくさんだ、やめてくれと言いたくなる。

 

物語は、花が結婚する場面から、段々と時を遡る形になっている。

 つまり既に先のことは語られているので途中から話は見えてくるし、2人の間の超絶依存関係がずーっと語られるので正直途中から読むのが辛くなった。

 

近親相姦や小児性愛と言ったテーマそのものについては小説ではよくあることだし、そのテーマ自体が受け入れられないわけではない(現実で、身近にそんなことが起こればもちろん平静は保てないと思うが)。だが、そこから葛藤とか、もがきとかが描かれるわけではなく、なんだかどこまでいっても二人の「私を見て!私を愛して!」っつー自己愛を面前に押し付けられているような感じ。

 

二人が絡み合うシーンは執拗に、湿度高く、ねちっこく書かれているが、それ以外が全然印象に残らない。「欠損」していていびつな家族の形しかしらない二人、だから血を求めて近親姦を犯してしまう、という帰結もなんだかなあ…。何より、二人が情愛の最中おとうさぁーん、おかあさぁーん、と呼び合うあたりめちゃくちゃイラっとしたし寒気がする。

いっぽうでそれだけ心根が揺さぶられたということで、すごい作品なのだとも思う。 

ただ私の読解力不足か、はたまたただ合わないのか、いずれにせよ、多分私は二度と読むことはないと思う。

 

お気に入り度

★☆☆☆☆