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ゆる読。

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伊坂幸太郎が描く恋の群像劇|小説『アイネクライネナハトムジーク』

伊坂幸太郎作品には珍しく、泥棒も殺人者もテロリストも出てこない話。

6章の短編から成る群像劇で、各章がタテとヨコ(各章の登場人物同士と、時系列)で絡み合っている。伊坂幸太郎作品によくある構成だけど、この作品は特に時系列が結構行ったり来たりなので、ちょい混乱する。

 

元々、最初の2編が短編として発表され、その後その2編を受けて残りの章が書かれたとのことなので、それぞれの章で物語の小波が起き、最後にその波同士がぶつかるような構成になってるけど、先述のように時系列が結構あちこちするので一気読みしないとちゃんと理解しづらい。

 

各短編それぞれ、ホンワカするし面白くて、ちょっと空いた時間に1章ずつ読むような楽しみ方をしたい感じのストーリーなんだけど、最終章はちゃんとそれ以前の章の内容を覚えてないとアハ体験ができない。物語のスケール感と、からくりの理解に必要な背景のインプット量が比例しないというか…。

 

とか言いつつ、登場人物たちの住む街にひっそり佇む「斉藤さん」という人物が素敵だった。1回百円で、今の気分にあったフレーズを斉藤和義の歌から引っ張り出し、なんとなく聴く人をいい感じの気分にさせるという謎の青年だ。

 

残念ながらあまり斉藤和義さんの歌に詳しくなく、原曲は全然浮かばなかったんだけど、以前読んだ『フィッシュストーリー』も、音楽と編集の力により個人的には映画の方がかなり好きだったので、こちらももしかすると映画のほうが楽しめるかも。

 

あらすじ

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

 

 

お気に入り度

★★★☆☆

 

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↓感想

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