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ゆる読。

気が向いたときに小説やらの感想を残すブログ。ほっこり系、ミステリが主。

★★★★☆

大天才・四季の魅力がふんだんに詰まった一作|小説『有限と微小のパン』

ついにS&Mシリーズ最終作。 結構なボリュームがあったが、中弛みすることなく一気に読み進めることができた。 第1作目(といいつつ、実際の執筆された順序は4番目くらいらしい)「すべてがFになる」に登場した超天才・真賀田四季が再び萌絵と犀川に接近する。…

犀川&萌絵の大学生活と成長を楽しむ|小説『私的詩的ジャック』

森博嗣による、 大学助教授犀川と大学生萌絵が謎解きに挑むS&Mシリーズの第4作。 ※以下、軽くネタバレを含む。 大学を舞台にした密室での連続殺人に、萌絵のスーパー好奇心で首を突っ込み、萌絵からの情報で犀川が半ば安楽椅子探偵のように謎を解いていく。 …

十組十色の暮らし模様|小説「三人暮らし」

20代女性同士が同居を始めたり、 独立した娘2人が転がり込んだり、 たまたま神社で知り合った人を自宅へ呼んだり、 いろんな組み合わせとシチュエーションの三人暮らしが描かれる短編集。 期待しすぎず干渉しすぎず、無理のない範囲で互いに支え合うような、…

ままならない愛の形|小説「殺戮にいたる病」

物語は、連続猟奇殺人犯が逮捕される場面から始まる。 逮捕の現場に居合わせた人物たち-殺人犯蒲生稔、稔の家族である雅子、稔を追っていた警察OB樋口-のそれぞれの視点から、過去に遡って稔が罪を犯しはじめてから現在に至るまでが描かれる。 犯人と、その…

太宰治の心の断片に触れる|エッセイ「もの思う葦」

太宰治が執筆活動を始めて間もなくから、彼が亡くなる前年までの間に各所に投稿された随筆をまとめたエッセイ集。 正直、読み始める前の太宰治イメージといえば 人間失格(大分前にうっすら読んだ やたら心中を試みている やたらいろんな女性にちょっかい出し…

実はサンドイッチがめちゃ美味しそう|小説『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

大好きな吉田篤弘さん作『つむじ風食堂の夜』の舞台、月舟町の隣の町でのお話。 主人公は町に引っ越してきた青年、大里くん。 映画を見るのが好きすぎて、うっかり仕事も辞めてしまい、大好きな映画館「月舟シネマ」のある月舟町の隣町へ住みついた。 人のい…

未来を形作るのは今このとき|小説『流星ワゴン』

黒い背景に小さくぽっかりと浮かぶ月、左下にはガソリンスタンドの看板。 文庫本の表紙にはたったそれだけしか描かれてないけど、むしろそのそっけなさから深夜の独特の静けさや寂しさが伝わってくるようで、妙にその時の気分にしっくりときた。 そんなわけ…

自分ってダメだなぁ、って辛くなった時に|小説『働かないの』

40代にして仕事を辞め、今後の人生は誰にも振り回されずに生きるんだ!と、働かずに生きると決めたキョウコ。 貯金生活を始めて約3年が過ぎたキョウコの毎日は、きわめて穏やかで平凡だ。 だけどそんなキョウコの暮らしに、2つの新たな風が吹いた。 一つは…

初見殺しの高い壁を乗り越えたらもう止まらない|小説『姑獲鳥の夏』

面妖な表紙デザインと凶器にもなり得るその風貌(厚さ)から、一度見たらまず忘れない『姑獲鳥の夏』。 長年、長期休みになったらやりたいことランキング上位に食い込んでいた本作品読破だが、遂に成し遂げることができた。 物語は、物書きの関口がとある病院…

…あれ?結局向井理ってやっぱかっこよくない?|映画『小野寺の弟、小野寺の姉』

何というか、すごく地に足がついた作品。 開始20分くらいの、登場人物が大体出揃ったあたりで大方の人が想像するような「たぶんこういう結末だろう」という予想がきれいにそのまま再現されて終わる。 従ってストーリーは非常にシンプルだけど、幼い頃に両親…

な~んか面白い映画ないかな~と思ったときにぜひおすすめ|映画『鍵泥棒のメソッド』

あらすじ 人生が入れ替わってしまった二人の男と婚活中の女性が巻き起こす、誰もが楽しめる喜劇を描く。先の読めない展開と意外でかつ爽快感の残るラスト、様々な場所に仕掛けられた笑い等、映画の醍醐味をすべて織り込んだ脚本の完成度は健在。(Amazonより…

気軽に 見れて、作り手の想いもしっかり心に残る|映画『超高速!参勤交代』

あらすじ 江戸期、八代将軍・徳川吉宗の時代。1万5千石の小藩・磐城国湯長谷藩に存在するという金山略奪を狙い、江戸幕府が無理難題を吹っ掛ける。「5日以内に参勤交代しなければ、藩を取り潰す! 」。金も時間もない湯長谷藩。参勤交代を果たし、無事に藩を…

淡々としているけど不思議な読後感|小説『旅のラゴス』

あらすじ 旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。集団転移、壁抜けなど不思議な体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅を続ける男・ラゴスの目的は何か?北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償と…

物語の力強さに軽く目が回る|小説『三月は深き紅の淵を』

あらすじ すべてが謎めいた1冊の本はどこに?鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)…

一人だから、つながりたくなる|『ぶらんこ乗り』

あらすじ ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。――天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実…

家族のルーツをたどるスパイス香る物語|『カレーライフ』

こんなあなたに ロードムービーが好き お盆や年末年始、親戚みんながおばあちゃんちに集まって、よくいとこたちと遊んだなあ 「読む」料理って堪らないよね(そんなあなたはこちらもおすすめ ⇒小説「しあわせのパン」三島有紀子/ポプラ文庫 ⇒小説「食堂かた…

不思議は雨と地続きに|『家守綺譚』

こんなあなたに 梅雨の時期のおこもり本を探している ふと目に入ったつくしや、ある日突然に香るキンモクセイなど、五感で四季の移ろいを感じ取る 伝記や伝承など、土地に脈々と受け継がれた物語や文化、歴史は、今もこれからも大切にしていきたいと思う 家…

重たいもの、一回降ろしてみませんか|小説『うつくしい人』

こんなあなたに 何かは分からないけど、何かにいつも縛られている気がして息苦しい 誰かの目を気にせずには自分の行動を決められない、気にしたくないけど怖くて結局自分を変えられない (そんなあなたにはこちらもおすすめ ⇒「コンビニ人間」村田沙耶香/文…