ままならない愛の形|小説「殺戮にいたる病」
物語は、連続猟奇殺人犯が逮捕される場面から始まる。
逮捕の現場に居合わせた人物たち-殺人犯蒲生稔、稔の家族である雅子、稔を追っていた警察OB樋口-のそれぞれの視点から、過去に遡って稔が罪を犯しはじめてから現在に至るまでが描かれる。
犯人と、その手口と、その動機は割と早い段階で明かされるのだが…、
とにかく最後まで読めば間違いなく「ん何ーっ?!?」っとあっけにとられること間違いなし。
そして今作でやはりガツンと印象に残るのは、稔の行き過ぎたネクロフィリア(屍体愛好)だが、彼の思考を辿りながらその行為をトレースしていくと、それはただたんにぶっ飛んだ性癖であるというよりも、それが彼にとってのほんとうの愛の形であり、彼らしく被害者たちを大切にした結果なのだと納得しかけてしまうから恐ろしい…。
余談だが、ネクロフィリアといえば、中学生時代に読んだ「本当は恐ろしいグリム童話」が忘れられない。
純粋無垢な中学生には刺激が強すぎた…