家族のルーツをたどるスパイス香る物語|『カレーライフ』
こんなあなたに
- ロードムービーが好き
- お盆や年末年始、親戚みんながおばあちゃんちに集まって、よくいとこたちと遊んだなあ
- 「読む」料理って堪らないよね
(そんなあなたはこちらもおすすめ
⇒小説「しあわせのパン」三島有紀子/ポプラ文庫
⇒小説「食堂かたつむり」小川糸/ポプラ文庫 - 朝昼夜で、テイストの違うカレーを攻めるっていうの一回やってみたい
【感想キーワード】
- おいしい
- 家族に想いを馳せる
- 青春
あらすじ
カレーをめぐる冒険が、いま始まる!
人は死ぬものなのだと知ったのは、カレーライスを食べた後だった。祖父のカレー、幼い日の約束をめぐって僕は旅立つことに…。小説すばる新人賞受賞作家の大盛りカレー小説。(Amazonより)
感想
あらすじにあるように、その名の通り「大盛り」ボリュームですが、
いとこたちのもとに旅する先々のエピソードと、それぞれで作り出されるカレーがそれぞれに引き立っていて、そしてだんだんと一つの結論にたどり着く過程がスムーズなので長さを感じません。
特に私が気に入っているのは、幼い頃、いとこたちと交わしたある約束をめぐって
彼らに会いに世界を旅すること。
いとこって、なんだか独特の距離感だと思うんです。
小さい時からお互い知っていて、昔はきゃいきゃい遊んでいたけど、
だんだんと高校、大学、社会人とそれぞれが育つにつれて
正面向いて話すのがこっぱずかしい感じになる。
よく知っているようで、実は日々どんなうれしいこと、つらいことがあったのかって
そんなに知らない。
でも、やっぱり昔集まった場所とか遊んだ記憶ってすごく大事に思っている。
そんな、大人になるとちょっと恥ずかしくてムズムズするような気持ちを持ちながらも、「あの頃の約束、覚えてる?」と実際に行動に移す主人公たちを
心から応援したくなります。
カレー大好きな人にも、そうでない人にもぜひ読んでもらいたい本です。