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ゆる読。

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物語の力強さに軽く目が回る|小説『三月は深き紅の淵を』

あらすじ 

すべてが謎めいた1冊の本はどこに?

鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)「三月は深き紅の淵を」の話。たった1人にたった1晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。(Amazonより)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

 

 

感想

 

作者未詳、その本の持ち主は一晩だけほかの人に貸すことを許されるという幻の稀覯本

「三月は深き紅の淵を」をめぐる4作の短編が収められている。

 

どの短編も、恩田陸さんらしい幻想的な世界観に引きずり込まれるミステリーだ。

 

しかし話はそれだけでは終わらない。

第4話は、「三月は深き紅の淵を」の作者がまさに「三月は深き紅の淵を」を生み出そうとしている話である。

第4話は、第1~第3話の”外側”の話であり、

時折作者の頭の中であろう第1~3話っぽい文章も差しはさまれているという

入れ子構造になっている。

だけどだんだんとその入れ子構造も崩れていって、

”物語”が独り歩きしているような、あいまいな形で終わる。

 

一読目は結局、「??」で終わってしまったけど、

時を置いて読み直すと、

恩田陸の”物語愛”がとめどなく迸る、贅沢な物語だと感じた。

 

長年ずっと追い求めている”何か”があることって、

なんだかすごく羨ましい。

 

 

感想キーワード

  • 幻想的
  • 余韻が残る
  • 不思議

お気に入り度

★★★★☆

 

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