重たいもの、一回降ろしてみませんか|小説『うつくしい人』
こんなあなたに
- 何かは分からないけど、何かにいつも縛られている気がして息苦しい
- 誰かの目を気にせずには自分の行動を決められない、気にしたくないけど怖くて結局自分を変えられない
(そんなあなたにはこちらもおすすめ
⇒「コンビニ人間」村田沙耶香/文春文庫
⇒「間宮兄弟」江國香織/小学館文庫
- うわー!楽しい!…って気持ちって、どんなだっけ
- なんだか無性に、一人旅したい
【感想キーワード】
- すっきり
- 解放感
- ほろり
あらすじ
32歳の百合は、ずっと周りの人間の目ばかりを気にして、「社会的」に「成功」することに心血を注いでいました。
だけどある日、ほんのささいなミスで、突然会社で号泣してしまいます。
それをきっかけに会社を辞め、今後の行く末と、急に「うまくできなく」なってしまった自分に恐怖にも似た不安を抱えていた中で、半ば強引に離島への一人旅に出かけます。
その離島のホテルで、百合は不器用で不格好なバーテンと、使い切れないほどのお金と時間を持て余したドイツ人と出会いました。
その出会いが、少しずつ百合の心に変化をもたらし始めました。
感想
例えば、洋服を選ぶとき、例えば、学校・会社を選ぶとき。
人生への影響の大小を問わず、知らず知らず自分の選択を、自分以外の誰か
のためにしていることってありませんか。
親の期待、友人たちの視線、あるいは「社会」の声。
人の気持ちを読み取ることに長けている人ほど、そして頑張り屋の人ほど、その傾向は強いのではないでしょうか。
迷惑をかけないように
仲間として認められるように
頑張っているのに、
頑張っても頑張っても、幸せには近づいていない気がする。
そんなほんのりした不安や重さにとらわれている方にぜひ読んでもらいたいです。
お気に入り度
★★★★☆